2010-04-01

Chaotic Next Stage                      第14号

                                                  発行責任者  稲崎義明

クラウドコンピュータについて(3)

 

コンピュータシステムが「ツール」から「サービス」に移行してきているとしました。たとえばどういうものがあるでしょうか。コンピュータを見ているとあまり実感がわかないかもしれないので、最も典型的な変化を遂げている「携帯電話」で見てみます。現在「携帯電話」は、「スマートフォン」が注目されています。その走りはappleの「iphone」であったことは誰もが知っています(ただし、「スマートフォン」という言葉や「iphone」がスマートフォンだということは知らないかもしれませんが)。確かに「iphone」の登場はは1つの「ターニングポイント」となりました。実は「スマートフォン」自体はそれ以前からあったものです。たとえばwillcomの「W-ZERO3」などは一時期注目されましたがすでに4年も前に発売されたものでした。その前にスマートフォンですが、これは携帯電話(PHSを含む)と携帯情報端末(PDA)を融合させた携帯端末で、電話以外にパソコンと同様のキーボードを持つことによって、携帯電話でパソコンと同様の作業ができる端末です。もうひとつ、携帯情報端末は俗に電子手帳と呼ばれていたもので、「Zaurus」などが各社から発売され、一時期はコンピュータ売り場の一角を占めていたものです(現在はまったくありませんが)。

ではそれまでの「スマートフォン」と「iphone」はどこが違うのでしょうか。実は、これまでのスマートフォンや電子手帳は内蔵されているプログラム以外ほとんど機能追加できないということがあり、インターネットを閲覧すねることができても見にくい小さな画面でできる程度のもので、機能追加の場合にはメーカから提供されるプログラムをインストール必要があり、またそのプログラムも多岐にわたっていないというものでした。では、「iphone」はどうでしょうか。宣伝を見ても数十万本のアプリケーションが使えるようになっています。もちろん費用はかかりますが、必要なときに必要なアプリケーションを使うことができるのです。それも日本だけでなく全世界のものが。使うのが短時間であればその間だけ使えばよいことになります。「サービス」の提供を受けるのです。データを保存するのであればネット上に保存し、必要な人の間で共有することもできます。以前の携帯電話は、本当に電話が中心で、後メールができればというものでした。しかし、「iphone」はいろいろなことができます。ネットに接続することによって使えるアプリケーションによって、電話やメールのやり取り以外にも、初めての場所の情報を集めたり、道を調べたり、買い物をしたりなど。たくさんのシステムが入っているわけではなく、必要なサービスを使っているだけです。もちろんパソコンでも同様のことができるようになっていますが、携帯性が低いだけです。利用者側からするとアプリケーションがどこにあるのか、誰が提供しているのか(国内外を含めて)、データもどこにあるのかセキュリティが大丈夫(共有を許可していない人に漏洩することが無ければ)であれば問題にはならないと考えるようになってきています。以前のようにすべてを自分のところにおいて、管理しようとする考えとは根本から違ってきています。これがクラウドコンピュータです。

クラウドコンピュータでは、管理するほうはユーザが希望する条件、特にセキュリティ面などをしっかりしなければなりませんが、利用者側はこれまで以上にシステムがブラックボックス化するようなものです。使いたいときにいつでもどこでも使えるのが「サービス」の考え方です。そのためのツールは極端な話ブラウザだけになるかもしれません。パソコンも自分のものという考えを持つ(会社のパソコンは個人のものではありませんが、ここにあわせた設定がありました)必要はなくなるわけです。サービスを使うことができれば。      (次回へ続く)