2010-03-01

Chaotic Next Stage                      第13号

                                                  発行責任者  稲崎義明

クラウドコンピュータについて(2)

 

クラウドコンピュータを考える場合に、まずパソコンのこれまでの流れを見てみます。パソコンは今から30年ぐらい前に日本では登場しました。当時のパソコンは、どちらかといえば一部のマニアが使うもので、当然高価であり一般に普及するものでもありませんでした。その当時企業ではすでにコンピュータの導入は始まり、オフコンや汎用機などが経理などで基幹システムとして利用され、専門のオペレータが操作するものでした。一方パソコンはゲームなどで使用されていましたが、そこに表計算やワープロのソフトが発売されるようになって徐々に会社にも利用されるようになって来ました。当時のパソコンはメーカごとに仕様が異なっていましたが、20年ほど前に登場したDOS/VというOSによって共通化され、その後、Windows3.0の発売以降Windpwsの時代となってきました。ワープロの発売以降、パッケージソフトの時代が長く続くこととなります。OSもWindows95の発売の時には大騒ぎになったものです。その後、Windows98、me、2000、XPなどと発売されていますが、Vistaにいたってはあまり注目されず、いまだにXPが中心で、今度のWindows7が次のOSの中心になるものと考えられています。さて、パッケージソフトですが、その中心となるものがOfficeであり、年賀状ソフト、ビデオ再生、編集ソフトなどですが、今現在パソコン売り場に行ってもその売り場面積が小さくなっていることをご存知でしょうか。以前であれば、いろいろなパッケージソフトが毎年といっていいほどバージョンアップし、新機能を追加していましたから新しいソフトに買い換えようとしていたものです。しかし、Officeにしても現在は2007が売られていると思いますが、2000や2003で十分と考える人も多いのではないでしょうか。もちろん2000ではサポートが完了しているなど問題はありますが。このようにパッケージソフトが成熟してきたということによって、興味が薄れてきています。さらに無償ソフトがたくさん登場し、パッケージと同程度の性能を持つことによりよりいっそう興味がなくなっているのではないでしょうか。それに加えて環境が異なってきたもののひとつは高速ブロードバンドによるインターネットの普及です。今現在インターネットをどう使われているかみてみると以前では考えられないことになっていることがわかります。たとえば、地図検索ですが、昔は専用のソフトを買ってきてインストールすることによって始めて利用できたものです。道ができたり、市町村合併があったりするとデータの更新が必要でした。また、よく使われる路線検索ですが、これも以前は専用のソフトがあり、電車の時刻表が変更になるとデータを更新しなければならないものでした。翻訳も同じようなものです。今はすべてがインターネット上でできてしまいます。ブロードバンドの普及によりソフトが消えてしまってきているということができます。これまでパッケージで売られてきたものが、インターネットを前提としたものに変化してきています。たとえば、仮名漢字ソフトで一世を風靡したATOKがありますが、現在パッケージ以外に「定額制」が導入されています。ネットワークを前提にしたソフトの販売形態を考えた場合によくわかるのが携帯電話での利用です。携帯電話はすでに電話をかけるためのものでも、メールをやり取りするためのものでもなくなっていることはよくご存知と思います。月額費用はかかります(無料のものもありますが、費用負担が宣伝元というだけで同じです)が、いろいろなアプリケーションが使えるようになっています。パソコンも同じような状況になってきていると考えればわかりやすいと思います。ソフトウェアが「ツール」から「サービス」に移行しているということで、パソコンはネットに接続するためのものになってきているというより、インターネットに接続できればOSは何でもよくなってきているということです。      (次回へ続く)