2010-02-15

Chaotic Next Stage                      第12号

                                                  発行責任者  稲崎義明

クラウドコンピュータについて(1)

 

クラウドコンピュータを知っていますか。近頃はやりの言葉ですから、聞いたことはあると思うのですが、さてその中身は良くわかっているかというと、怪しい人が多いのだと思います。まるで言葉自体がクラウド(雲)のようでつかみづらいものです。来年から拡販しようとするシステムの中心とよく言われていますが、そんなことを言っている人もどこまで判っているのかと思ったりします。それで、この頃いろいろ本を買って読んだりしているので、わかる範囲でまとめて見たいと思います。中には理解の中で間違いがあるかもしれません。その場合はすぐに指摘してください。

まず、クラウドコンピュータという言葉を初めて使ったのはGoogleのCEOのエリック・シュミットで2006年のことだそうです。それは「サーチエンジン戦略会議」という会議の中の発言で、「PCかマックか、携帯電話かは無関係です、(クラウド)のような、巨大なインターネットにアクセスすれば、その利益、恵みの雨を受けられる時代となっています。」というものです。この言葉でもわかるように、クラウドコンピュータは巨大で高速なインターネットによって恵みを得ることができるもので、1台のサーバをもってきたり、サーバを統合することだけで導入できるというものではありません。また、利用する場合にアクセスするシステムの実態がつかみどころが無いということで「クラウド(雲)」というだけでなく、恵みが雨のように降りそそぐというところまでが含まれています。具体的に「クラウド」とはどういったものを示す言葉であるか、その特徴は次の4つになります。

1つ目が「サービス化」で、クラウドにおいて作業はパソコン内や携帯電話の中にあるアプリケーションで行うのではなく、インターネットの中にあるサーバで処理を行い、利用者は操作や結果の確認のためにパソコンや携帯電話を利用することです。

2つ目が「ボーダーレス」で、「サービス化」されたシステムを利用する「窓口」はブラウザがあればよいことであり、端末側としては、OSが何であっても、メーカが何であっても、ましてやパソコンか携帯電話も関係なく同じサービスが受けられるということです。ただしパソコンでできることが携帯電話でできるということではなく、携帯電話でできることもパソコンできるということも含まれます。つまり、「適切なときにその場面にふさわしい機器からいつでも利用することができる」ことです。

3つ目が「分散」で、データは手元の機器の中にあるだけではなく、どこかのサーバの中にあってもよく、さらには複数の機器にまたがってもいいということで、ネット中に自分だけが使えるデータが分散して保持され、その中から他人と共有するものも出てくるということです。

4つ目が「集約」で、サーバで主に処理を行うことから、ここが使うパソコンや携帯電話の能力はそれほど必要なく、サーバは演算の速さやHDDの容量、信頼性がより必要となるということです。

これらの特徴からクラウドコンピュータをみると、クラウドはネットワークの能力を最大限に発揮することを前提としたコンピュータの利用形態で、すぐに取り上げられるGoogleのGoogle App Engineサービスなどのように、現在のような高速インターネットになったことにより初めて出てきたもので、インターネット環境を利用しない場合でも高速ネットワークが必要となります。しかし、クラウドについてはこれまでも同じような言葉や同じようなメリットを生み出す技術もあったもので、焼き直しに過ぎないとも言われています。つまり、クラウドを明確に定義することはできないということになります。      (次回へ続く)